トップページ | 2008年1月 »

2007年12月

悪徳商法あれこれ、その3(霊感商法)

今回は「霊感商法」についてお話したいと思います。

20日に、東京にある「びびっととうきょう青山サロン」や、サロンを運営する有限会社「神世界」本部が家宅捜索を受けたというニュースが飛び込んできました。

霊感商法は、潜在的なものも含めれば数限りなくあるものと思われますが、今回特に話題になったのは、その運営に神奈川県警の警視が関与していたためです。

その後の報道によると、この警視は「びびっと・・・」の運営にも関与し、自身もその教義を信じていたようで、更に自分の部下からも資金を集めていたそうです。

このように本人がその教えを信じて私財を投じるだけではなく、周囲の人間をも勧誘し、被害を拡大させるというのが、霊感商法の一般的な形です。

ある霊感商法の事例では、「あなたの癌は先祖の殺傷因縁、色情因縁によるもので、このままではあなたの親族も皆な癌に罹ってしまう。親族を救うためには、あなたが私財を神に捧げるしかない。」などとうそぶいて、信者から財産を搾取し、挙げ句の果てには親族の財産をも食いものにするという手口が報告されています。

信者は一種のマインド・コントロール状態にありますから、自分の財産や親族の財産に至るまで、包み隠さず申告してしまいます。教団はその申告に基づいて、周到に搾取計画を練り上げていくのです。

しかし、被害者本人は、財産を搾取されていると気付かない場合がほとんどですから、「何かおかしいな」と思ったら、家族などの周囲の人間が対処するべきだと思います。

対処法としては、

①教団と直接交渉する・・・この場合、献金勧誘・物品販売行為に違法性があれば、直接の勧誘者である信者と、その使用者である教団を相手取って、その不法行為責任を追及する。また違法性が立証できない場合でも、消費者契約法の取消制度や特定商取引法のクーリング・オフ制度などが利用できるか否かを検討する。交渉に先立って、詐欺罪などの刑事告訴の手段をとることも検討しておく方が良いでしょう。交渉する前に可能な限り武器を用意しておくことは基本中の基本ですから。

②交渉で埒があかない場合・・・この場合は、裁判所に訴え出るという手があります。裁判例を見ると、ほぼ100%に近い被害額を回収することが出来ているようですので、最終的にはこの方法が確実でしょう。

ただし、上記の対処法を行うためには大変なエネルギーが必要になります。やはり、被害を未然に防止することが一番いいのは言うまでもありません。ですから、まずは家族が真剣に被害者を説得することが大切です。その話し合いの過程で、その被害者が抱える孤独感や不安などを明らかにし、その解決策を模索することです。被害者が霊感商法にひっかかってしまった背景には、そうした孤独感・不安が存在することがほとんどですから。そういった問題を家族が一緒になって解決していく、そうすることで家族の連帯感も生まれてくるものと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

悪徳商法あれこれ、その2(慈善事業)

先日、当事務所に珍客が来訪しました。

ちょうど昼時でしたので、あつあつの焼きそばを食べていたんです。

玄関先には、20代前半とおぼしき木訥そうな青年が立っていました。大学生だそうです。

その青年は、中東やアフリカなどで地雷によって手足を失った子供達のために、車いすや義手・義足などを届けるボランティアのアルバイトをしているそうで、社員証らしきものも見せてくれました。

悪徳商法については日頃研鑽しておりますので、「多分悪徳商法だろうな・・・」という勘が働きました。そこで用心深く話を聞きました。

案の定、彼はハンカチセットやらタオルセットやらを取り出して、「1セット12,000円でお願いします。」というのです。

私は聞きました。「ハンカチ4枚で12,000円ってのは相当高いですよね?」

彼「お気持ち分、上乗せして頂くということで、お願いします。」

私「あなたの社員証に載ってる○○有限会社(本社東京)さんが、集めたお金をしっかり慈善事業に使っているという保証はあるんですか?」

彼「(パンフレットを提示して)一応、ここに会計の資料があるんですが・・・」

私「でもこれが本当にこのとおりに使われてる保証は無いわけですよね?」

彼「・・・・・・」

私「あと、この会社は社団法人とかNPO(特定非営利活動法人)とかではないわけですよね? そうすると主務官庁の監督なんかも無いということですよね?」

彼「・・・・・・」

私「そういう会社に寄付金を出すのはちょっと無理なんですけど」

彼「・・・・・・また機会がありましたらお願いします。」

多分もう来ないでしょうね。面倒くさい人だと思われたでしょうから。

特に弁護するつもりも無いですが、彼はおそらくいい人なんでしょう。その会社が慈善事業を行っていることを信じ、それに関与する自分自身を誇りに思っているんでしょう。その気持ちは言葉の端々に現われていました。実際、彼が見せてくれたパンフレットにはアフリカの施設で義手や義足を付ける子供達と笑い合う青年たちの姿が映っていました。本社が東京にあるとのことですから、全国的にこういった活動に参加する青年たちが相当数いるということでしょう。その精神はとても崇高なものだと思います。

ただ、その方法が問題なのです。先程の問答の中で、私は「集めたお金をしっかり慈善事業に使っているという保証はあるんですか?」と言いました。その時、私は次のような試算をしていました。

私が住む松島町(約5,500世帯)を例に挙げてみましょう。

全世帯を訪問して、100軒中1軒だけ成約したとしますと、55件。

ハンカチ4枚の原価が1,000円だとすると、12,000-1,000で、1軒につき11,000円が売上になります。その売上から人件費(学生の善意を利用していますので、人件費は相当安く抑えられるでしょう。仮に日当3,000円とします。)を引いても、11,000-3,000で、8,000円が1軒あたりの純利益になります。これが55軒ですから、400,000円強の純利益があがるわけです。

宮城県全体では880,000世帯(平成18年12月現在)あるそうですが、上記の試算を適用してみると、

880,000÷100×8,000=70,400,000円

宮城県一県だけでこれだけの利益があがる計算になります。

勿論、パンフレットに使用する写真を作成しなければなりませんから、この活動に参加する学生の一部(ここがポイントです)を実際にアフリカに連れて行ってはいるでしょう。義肢・義足・車椅子をある程度プレゼントする必要もあるでしょう。しかし、学生の善意を利用している以上、渡航費用などもかなり安く抑えられるでしょうし、集めた金額に比べれば微々たるものです。

また、上記の試算では、成約率を100分の1に設定しましたが、

①昼間に訪問するため、応対する家人が女性であることが多い。

②慈善事業を名目にしているために断りづらい。

などの要素も考え合わせると、成約数は更に多いかもしれません。

それでいて、これだけの利益を上げているにも関わらず、社団法人やNPO法人であるわけでもないのです。公的に認められた慈善団体となれば、より効率的に寄付金を集めることができ、慈善事業の発展が見込めるというのに。

以上のように考えると、この「慈善事業」は十中八九、悪徳商法だと思われます。

ただ、一般的な悪徳商法が、業者の利益を追求するだけなのに対して、この悪徳商法は消費者の善意と関与する学生の善意の両方を食いものにするという点で、より悪質であると言えます。また、更に厄介なことに、この「慈善事業」が現在物議を醸している「霊感商法」に繋がっていく可能性すらあるのです。

消費者の皆様が先に挙げた問答を参考にして、こういった勧誘を撃退されることを願うばかりです。

そうそう、食べていた焼きそばがどうなったかは聞かないで下さい(涙)

次回は「霊感商法」についてお話したいと思います。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

悪徳商法あれこれ、その1(和牛商法)

まだこんな悪徳商法が存在していたのか、という感じです。

20日(木)に飛び込んできた、「ふるさと牧場」(東京都港区)の家宅捜索のニュースです。

今回問題になった「和牛商法」とは、

①「和牛のオーナーになりませんか?仔牛を購入して頂き、飼育・管理・売却したうえで、その売却利益を還元いたします。勿論、飼育・管理・売却は当社が責任をもって行います。」という名目で、多数の消費者から資金を集める。

②写真入りのパンフレットを配ったり、牧場見学などを開催することで、いかにも牛を飼育しているかのように装いつつ、実際にはその出資金を自由に消費し、悪質なケースではそのままトンズラしてしまう。

大まかにいうとこのような悪徳商法のことを言います。

今回のケースでは、2005年8月から12月にかけて東京都の老人から多額の出資金を受けとったことが問題となったようです。しかし、こういった「消費者から出資金を集めて、物品を購入し、そこから生み出される利益を消費者に還元する」という商法自体は、和牛に限らず、金や宝石などを購入させるというものもあり、古典的な手口の一つと言えます。このコラムの冒頭で「まだこんな悪質商法が存在していたのか・・・」と言ったのはそういう意味です。

この会社は1995年の設立後、現在まで100億円以上を集めたとのことですから、余程巧妙な手口だったのでしょう。実際、ニュースなどで公開されたパンフレットなどを見ると、結構良くできているんですね。「出資法の改正」を謳って法律違反ではないことを強調したり、パンフレットもわかりやすく作ってあったりと。下手な金融機関や保険会社のパンフレットよりも構成だけなら奇麗なぐらいです。だからこそ被害者も膨大な数になってしまったんでしょうが・・・。

では、こういう商法の被害にあってしまったらどうしたら良いのでしょうか?

勿論、耳を貸さないのが一番ですが、超低金利が一般的になっている正規の金融機関に預けるよりは・・・ということで被害にあってしまう方もいらっしゃるかもしれません。

対処法は大きく分けて2つあります。

①民事的対処法・・・訪問販売や電話勧誘販売などは特定商取引法の取消しが利用できるか否かを検討する。また消費者契約法の取消しの適用の可否も検討する。今回のケースでは会社自体は存続しているので、会社宛に内容証明郵便などで契約の無効・取消しを主張する。

②刑事的対処法・・・出資法違反での告訴、詐欺罪での告訴を検討する。

ただし、上記の対処法を使っても、元金の全部を取り戻せる保証はありません。もともと「元本・利回り保証」というこの商法自体が本質的に破綻する危険性を秘めているからです。ちょっと考えれば分かると思いますが、「元本・利回り保証」で年6~9%の配当を捻出するなどという商法が長続きするわけがないんです。加えて和牛商法の場合は、牛の飼育費用・管理費用・売却費用まで業者持ちですから、慈善事業でもないかぎりこのような事業を行えるわけがありません。おそらくこの会社にも預かった出資金はほとんど残っていないでしょう。ですから、旨すぎる話にはよくよく気をつけなければならないのです。

次回は、「慈善事業の寄付金」にまつわるお話をしたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

トップページ | 2008年1月 »